政府の「新たなエネルギー・環境戦略の決定」について
平成24年9月14日
本日、政府のエネルギー・環境会議において、「2030年代に原発稼動ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入する」という新たな方針が発表された。 今回の決定は、エネルギー資源のないわが国にとって、極めて憂慮すべきものである。 低廉で安定した電力の供給は、地域の産業を守り、生活や雇用を維持する上で欠かせない必要条件である。しかし、原子力をゼロとした場合、エネルギー安全保障の面ばかりでなく、電気料金上昇による産業競争力の低下と産業空洞化の加速をもたらし、経済や国民生活に与える影響は非常に深刻である。 また、地球温暖化問題への対応や、アメリカ、イギリス、フランスとの良好な関係維持に悪影響を及ぼすことも懸念される。 さらに、世界最高水準といわれる原子力関連技術の継承、高度な技術と高い安全意識を有する原子力に必要な人材確保などに大きな支障が出ることは避けられない。 先般(H24/8)、当連合会で実施した「エネルギーに関する欧州視察」においても、ドイツでは、「脱原子力を進めることで電気料金の上昇による産業空洞化を招く」、「冬季に電力不足が生じかねない」等の問題点が指摘され、また、フランスでは、「原子力の安全性を更に高めながら基幹電源として今後も活用する」考えが示されたとの報告があった。 わが国においては、安全・安心の確保を大前提に、原子力発電を一定の割合で活用し、多様なエネルギー資源を確保することが重要なエネルギー戦略である。 国の将来を大きく左右するエネルギー政策については、十分な時間と議論を尽くして決定すべきであり、原子力という選択肢をなくす今回の戦略の見直しに向けた再議論が行われることを望む。 |
以 上 |