プレスリリース

BCMに対する会員の意識調査結果について

公開日時:2025/08/22

北陸経済連合会では、災害に強い企業基盤・地域づくりに向け、BCM(事業継続マネジメント)に対する会員の意識調査を実施しました。
推進・連携や能登半島地震後の策定状況などを聴いた本格的な調査は初めてとなります。

本調査は、サプライチェーン全体でのBCM向上が地域の防災レジリエンスを強化し、域内総生産の維持・拡大に繋がるという認識のもと、特に、部門や組織を超えたBCMに注目し、取りまとめた内容となっています。

報告書はこちらからご覧ください。

概要

1.BCP(事業継続計画)策定状況(P4,P7)
全体では59%が策定済。(参考:2011年度調査(42%策定済)から+17ポイント)
大企業では83%が策定済みだが、中堅企業では38%・中小企業では41%と、企業規模による差がある。ただし、中堅・中小企業では、能登半島地震後に策定や見直しが進んだ。

2.BCPに記載している項目(P5) 
「安否確認」や「災害チームの立上げ」「食料の確保」といった初動は定められているが、「平時の訓練体制」や、「代替施設の確保」「サプライチェーンへの確認体制」といった部門や組織を超えた対策まで記載している回答は少ない。

3.取引先との連携状況(P9~10)
取引先へBCP策定を依頼済との回答は、全産業で13%(製造業23%、非製造業9%)にとどまる。
取引先からBCP策定の依頼を受けているのは、全産業で31%(製造業44%、非製造業30%)と半数に満たない。「依頼はあるが策定予定なし」も3%あるが、取引先からの依頼はサプライチェーンに組み込まれている証左でもあるため、支援策の充実等によって策定が進むことが望まれる。

4.BCP策定やBCMの課題(P11~12) 
策定段階では、「スキル・ノウハウ不足」「部署間連携」、製造業では「サプライチェーン内調整」の選択率が高い。継続的な運用(マネジメント:BCM)には、「自社社員への浸透」「関係先への浸透」といった、部門や組織間の連携・調整・浸透が挙がった。

5.国や自治体に求める支援策(P13)
「補助制度の拡充・規制緩和」に次いで、「専門家アドバイス・伴走支援」「国等のガイドライン充実」を求める声が多い。
サプライチェーンでの取組みに関する参照しやすいガイドラインや専門家の伴走支援があれば、「スキルやノウハウの不足」「時間・人員の確保」「社内やサプライチェーンへの浸透」といった課題の解消に繋がり、策定・継続的な運用が進むことも期待される。

 6.まとめ(P14)
・ 会員からは、サプライチェーン全体での推進には、各社の取組み状況などに関する情報共有や、国・自治体と民間との連携・働きかけが必要といった声や、過去の被災経験をBCPに反映するための会議体を立上げたといった取組みも聞かれる。
・ 部門や組織を超えた連携には難しさもあるが、防災レジリエンスを高めるためには、部門(例:管理部門と工場、本社と営業所)や組織(自社と、開発・調達・製造・配送・販売等の各取引先)を超えた、横断的なBCMの視点が重要。
・ 当会でも、今後、策定・運用推進に資する情報提供や好事例の紹介、先進的に取組む企業の後押し、行政をはじめとした関係各所への働きかけ等を通じて、地域の防災レジリエンス強化につながる取組みを行っていきたい。

以上